身辺警護とは?依頼できる内容と流れ、警備会社の確認点

身辺警護とは警備業法第2条第1項第4号の業務であることと、依頼前に確かめる公安委員会の認定・4号の指導教育責任者・契約書面の3点を示した図解

身辺警護とは、警備業法第2条第1項第4号に定められた「人の身体に対する危害の発生を、その身辺において警戒し、防止する業務」のことで、一般にボディーガードや要人警護と呼ばれるものです。都道府県公安委員会の認定を受け、4号業務の指導教育責任者を置いた警備業者が行います。

「ボディーガードを頼みたいが、どこまでお願いできるのかわからない」「依頼したら、どんな流れで警護が始まるのか知りたい」。身辺警護は日常的に使うサービスではないため、依頼を考えたときに判断の材料が少ないと感じる方が多い分野です。

この記事では、法律上の定義から、依頼できること・できないこと、相談から警護開始までの流れ、警備会社を選ぶときに確認したい認定や指導教育責任者などのポイントまでを整理します。

この記事のポイント

  • 身辺警護は警備業法の4号業務。公安委員会の認定を受けた警備業者だけが業として行える
  • 依頼できるのは、外出への同行、送迎、面談やイベントへの同席など、身辺での危害防止
  • 相手を拘束する、相手を調べるといった行為は身辺警護に含まれない
  • 依頼は、相談、聞き取りと危険の評価、警護計画、書面の交付と契約、警護の実施の順に進む
  • 依頼前に、認定の標識、4号の指導教育責任者、契約前後の書面を確認する

身辺警護の定義と呼び方の違い

身辺警護の定義は、警備業法第2条第1項第4号の「人の身体に対する危害の発生を、その身辺において警戒し、防止する業務」です。施設を守る1号、雑踏や交通を整理する2号、貴重品の運搬を守る3号と並ぶ警備業務の区分のひとつで、「4号警備」とも呼ばれます。

ボディーガード、要人警護、身辺警備といった呼び方は、いずれもこの4号業務を指すことが一般的です。政治家や経営者の警護を「要人警護」、個人の通勤や外出の付き添いを「身辺警護」と呼び分ける会社もありますが、法律上の区分は同じです。

10,949業者

認定を受けた警備業者

699業者

4号業務を行う警備業者

6.4%

全業者に占める4号の割合

11,708人

4号の指導教育責任者資格者証の保有者

いずれも令和7年末時点。警察庁「令和7年における警備業の概況」によります。4号業務を行う業者には、緊急通報サービスを提供する業者も含まれます。

警備業者のうち4号業務を行う業者は1割に満たず、身辺警護を扱える会社は限られています。依頼先を探すときは、「警備会社であること」に加えて「4号業務を行っていること」を確かめる必要があります。


身辺警護で依頼できること・できないこと

身辺警護で依頼できることは、外出や通勤への同行、車両での送迎、面談・会合・イベントへの同席、移動経路や滞在先の事前確認など、依頼者の身辺で危害の発生を防ぐための行動です。依頼できないことは、相手を拘束する、相手の身元や行動を調べる、相手に直接やめるよう迫るといった行為です。

区分内容補足
依頼できること通勤・通学・外出への同行、送迎、面談や会合への同席、移動経路と滞在先の下見、自宅への出入り時の警戒警護の人数・時間帯・期間は、危険の程度に合わせて計画する
依頼できないこと相手の拘束、相手の自宅への訪問や接触、相手を排除するための実力行使警備業者には特別な権限がないと警備業法第15条に定められている
別の業務になること相手の特定や行動の記録探偵業の届出をした事業者の業務。探偵と警備会社の違いを参照

身辺警護の目的は、危険が起きにくい状況をつくり、いざというときに依頼者を安全な場所へ避難させることです。相手が迫ってきた場合は、依頼者を守りながら110番に通報し、警察の対応につなげます。

ストーカー被害の対策として身辺警護を使う場合は、警察への相談と並行して進めます。警告や禁止命令の前後など、危険が高まりやすい時期に警護を集中させる使い方もあります。警察への相談の進め方はストーカー被害を警察に相談する流れで解説しています。


身辺警護を依頼する流れ

身辺警護を依頼する流れは、相談、聞き取りと危険の評価、警護計画と見積り、契約前の書面説明、契約と契約書面の交付、警護の実施という順番です。警備業法では、契約を結ぶ前と結んだ後に、それぞれ書面を交付することが警備業者に義務づけられています。

STEP 1

相談

電話や問い合わせフォームで、警護が必要になった事情、希望する時期や時間帯を伝えます。この段階では、話せる範囲で構いません。

STEP 2

聞き取りと危険の評価

相手がいる場合はその人物との関係や行為の内容、生活の動線、警察への相談状況などを詳しく聞き取り、どの場面で危険が高まるかを評価します。

STEP 3

警護計画と見積り

警護の人数、時間帯、期間、車両の有無、移動経路などを組み立て、見積りが示されます。費用は、警護員の人数と拘束時間、期間、車両の手配などで変わります。

STEP 4

契約前の書面説明

契約の概要を記した書面を受け取り、業務の内容、金額、期間、解除の条件などを確認します。わからない点は、この段階で質問します。

STEP 5

契約と契約書面の交付

契約を結ぶと、契約内容を記した書面が交付されます。警護の開始日時、連絡の方法、緊急時の対応も確認しておきます。

STEP 6

警護の実施と見直し

計画にもとづいて警護が行われます。相手の動きや警察の措置など状況が変わったときは、警護の時間帯や体制を見直します。


警備会社を選ぶときの確認点

警備会社を選ぶときの確認点は、公安委員会の認定を受けていること、4号業務を行っていること、4号業務の警備員指導教育責任者を選任していること、契約の前後に書面を交付してくれること、警察への相談との連携に理解があることの5つです。

  • 公安委員会の認定:主たる営業所やウェブサイトに、認定した公安委員会・認定番号・有効期間を記した標識が掲示されているか
  • 4号業務の実施:身辺警護を業務として行っているか。施設警備や交通誘導が中心の会社もある
  • 4号の指導教育責任者:警備業法は、営業所ごと・業務の区分ごとに警備員指導教育責任者を選任することを求めている
  • 契約前後の書面:契約前の概要書面と、契約後の契約内容の書面を交付しているか
  • 警察・弁護士との連携:警護だけで解決しようとせず、警察への相談や法的手続きとの組み合わせを提案してくれるか

「身辺警護の検定」はない

警備業法の検定には施設警備や雑踏警備などの種別がありますが、身辺警護(4号)の検定種別はありません。4号業務の知識と経験を確かめる手がかりになるのは、4号の警備員指導教育責任者の資格者証です。資格者証を取得するための講習は、4号業務に一定期間従事した経験などを受講の要件としています。

本サイトの執筆者が代表を務める株式会社誠・シークレット・サービス・コンサルティングは、警備業の認定(東京都公安委員会認定 第30003860号)を受け、要人警護・身辺警護と車両移動送迎を業務として扱っています。代表の田丸誠は警備員指導教育責任者 4号(身辺警備)の資格を持ち、公式サイトでは、依頼者ごとにオーダーメードの警護プランを提案すると案内しています。

よくある質問

Q身辺警護とボディーガードは違うものですか?

身辺警護とボディーガードは、一般には同じものを指します。法律上はどちらも警備業法第2条第1項第4号の「人の身体に対する危害の発生を、その身辺において警戒し、防止する業務」にあたり、公安委員会の認定を受けた警備業者が行います。

Q個人でも身辺警護を依頼できますか?

身辺警護は、経営者や著名人に限らず個人でも依頼できます。ストーカー被害で通勤や外出に不安がある場合や、相手との話し合いの場に同席してほしい場合など、個人の事情に合わせて警護の時間帯や期間を計画します。

Qボディーガードは相手を取り押さえてくれますか?

ボディーガード(身辺警護の警備員)には警察のような特別な権限はなく、相手を取り押さえることを目的とした業務ではありません。危険が迫ったときは依頼者を安全な場所へ避難させ、110番に通報して警察の対応につなげるのが役割です。

Q身辺警護の費用は何で決まりますか?

身辺警護の費用は、警護員の人数、1日あたりの拘束時間、警護の期間、車両の手配の有無などで決まります。警備業法では契約前に契約の概要を書面で説明することが求められているため、金額と内訳は見積りの段階で書面で確認してください。

Q信頼できる警備会社はどう見分ければいいですか?

信頼できる警備会社を見分けるには、公安委員会の認定を示す標識と認定番号、4号業務を行っていること、4号の警備員指導教育責任者を選任していること、契約前後に書面を交付してくれることを確認します。警察への相談との連携を提案してくれるかも判断材料になります。

身辺警護の依頼を相談したい方へ

執筆者が代表を務める株式会社誠・シークレット・サービス・コンサルティングが相談を受け付けています。いま危険が迫っている場合は、110番に通報してください。

03-5724-3994株式会社誠・シークレット・サービス・コンサルティング

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この記事を書いた人

田丸 誠のアバター 田丸 誠 株式会社誠・シークレット・サービス・コンサルティング 代表取締役

元千葉県警察官。警察OB主体の危機管理会社で上場企業経営者の身辺警護やストーカー対策を担当したのち、株式会社誠・シークレット・サービス・コンサルティングを創業。千葉県警察および警備会社で2,000件を超える案件数と現場経験を持つ。JSSC認定 総合危機管理士(安全保障危機管理士)、警備員指導教育責任者(1号・4号)。