つきまといの証拠の残し方は、被害が起きるたびに日時・場所・相手の言動を記録し、メールやSNSのメッセージ、着信履歴、手紙、録音、写真を消さずに保存しておくことです。「同じ相手が、繰り返し、どんな行為をしたか」が第三者に伝わる形で残すことが大切です。
「気のせいと言われたらどうしよう」「何を残せば証拠になるのかわからない」。つきまといの被害は、その場では証明しにくいものが多く、記録がないまま相談して話が進まないケースもあります。
この記事では、証拠が必要になる場面、記録しておく項目と保存の方法、自分で証拠を集めるときに避けたいこと、そして探偵に記録を依頼するという選択肢までを、警察の資料と法律にもとづいて整理します。
この記事のポイント
- 証拠は、警察の警告・禁止命令、被害届・告訴、弁護士による法的手続きの判断材料になる
- 記録の基本は「日時・場所・相手・行為・そのときの不安」の5点を、その都度残すこと
- メッセージや着信は削除せず、スクリーンショットと印刷で二重に保存する
- 証拠集めのために相手に近づいたり、会ったりしない。身の安全が最優先
- 相手の特定や行動の記録は、届出をした探偵業者に依頼する方法もある
証拠が必要になる場面
つきまといの証拠が必要になる場面は、警察に警告や禁止命令を求めるとき、被害届や告訴を出すとき、弁護士に警告書の送付や接近禁止を求める手続きを依頼するときの3つです。いずれの場面でも、「誰が、いつ、何を、繰り返したか」を具体的に示せるかどうかで、とれる手段と進み方が変わります。
ストーカー規制法では、つきまとい等を同じ相手に「反復して」行うことがストーカー行為の要件です。1回きりの出来事より、日付の入った記録が積み重なっているほうが、行為の継続を示しやすくなります。
| 場面 | 証拠が果たす役割 | 特に重視される記録 |
|---|---|---|
| 警察への相談(警告・禁止命令) | 相手と行為を特定し、危険の程度を判断する材料になる | 相手の情報、行為の日時と回数、脅しの有無 |
| 被害届・告訴 | 犯罪にあたる行為があったことを示す | メッセージの原本、録音、写真、目撃者 |
| 弁護士による法的手続き | 警告書の送付や接近禁止を求める手続きの根拠になる | 時系列の記録、拒否を伝えた証拠 |
警察に相談するときの流れや、警告・禁止命令の仕組みはストーカー被害を警察に相談する流れで解説しています。
記録する項目と保存の方法
つきまといの記録で残す項目は、日時、場所、相手、行為の内容、そのとき感じた不安の5点です。これをその都度メモし、メッセージ・着信・手紙・写真などの物証とひも付けて保存しておくと、相談先にそのまま見せられる記録になります。
毎回のメモに書く項目
- 日時:年月日と時刻。わからなければ「〇時ごろ」と幅をもたせて書く
- 場所:自宅前、駅の改札、職場の入口など、できるだけ具体的に
- 相手:氏名がわかれば氏名。わからなければ服装、背格好、車の色やナンバー
- 行為の内容:待ち伏せされた、後をつけられた、何と言われたかなど、言葉はそのまま書く
- そのときの不安:怖くて遠回りした、外出をやめたなど、生活への影響
- 目撃者:一緒にいた人や、見ていた人がいれば名前
メモは紙の手帳でもスマートフォンのメモでも構いません。書いた日が後からわかる形で、時系列に並べておきます。
物証の保存方法
物証は「消さない、原本を残す、複製をつくる」が基本です。相手からのメッセージを見たくない気持ちがあっても、削除やブロックの前に保存を済ませておきます。
| 種類 | 保存のしかた | 注意したいこと |
|---|---|---|
| メール・SNSのメッセージ | 送信者のアカウント名と日時が写る形でスクリーンショットを撮り、印刷もしておく | アカウントの削除や送信取消で消えることがあるため、届いたらすぐ保存する |
| 電話・着信 | 着信履歴の画面を保存し、留守番電話は消さずに残す。会話は録音する | 無言電話も回数と時刻を記録しておく |
| 手紙・送られてきた物 | 封筒や包装も含めて袋に入れ、届いた日を書いて保管する | 中身を処分したくなっても、まずは保管する |
| つきまとい・待ち伏せ | 安全な場所から写真や動画を撮る。自宅の防犯カメラの映像も保存する | 撮影のために相手に近づかない |
| ネット上の書き込み | URL、投稿日時、投稿者のアカウントが写る形で画面を保存する | 削除される前に保存し、印刷もしておく |
相手に「拒否」を伝えた記録も残す
拒まれたのに電話やメッセージを続ける行為は、ストーカー規制法の対象です。「もう連絡しないでください」と伝えたメッセージや、その日時の記録は、後の相談で大切な材料になります。直接会って伝えるのではなく、文面で伝え、その文面を保存してください。
ストーカー規制法の対象になる行為
ストーカー規制法の対象になる行為は、恋愛感情やそれが満たされなかった恨みを晴らす目的で行われる「つきまとい等」8類型と、GPS機器や紛失防止タグによる「位置情報無承諾取得等」です。記録をつけるときは、起きたことがどの類型にあたるかを意識すると、相談先に伝わりやすくなります。
- つきまとい、待ち伏せ、進路への立ちふさがり、自宅・職場・学校など現にいる場所の付近での見張り、押し掛け、うろつき
- 行動を監視していると思わせることを告げる
- 面会や交際など、義務のないことを要求する
- 著しく粗野または乱暴な言動
- 無言電話、拒まれたのに続く電話・文書・FAX・メール・SNSメッセージ
- 汚物や動物の死体など、著しく不快なものを送り付ける
- 名誉を傷つける事項を告げる
- 性的羞恥心を害する事項を告げる、画像などを送り付ける
位置情報無承諾取得等には、承諾なくGPS機器や紛失防止タグで位置情報を取得する行為と、承諾なく持ち物にそれらの機器を取り付ける行為が含まれます。身に覚えのない機器を見つけたときは、取り外す前に写真を撮り、見つけた日時と場所を記録して警察に相談してください。
警察庁の資料では、令和7年に警察が把握したつきまとい等の行為は、つきまとい・待ち伏せ等が12,181件、面会・交際等の要求が7,548件、拒まれたのに続く電話・メール等が4,911件でした(警察庁「令和7年におけるストーカー事案、配偶者からの暴力事案等、児童虐待事案等への対応状況について」)。
自分で証拠を集めるときにしてはいけないこと
自分で証拠を集めるときにしてはいけないことは、相手に近づく、相手と二人きりで会う、相手を挑発する、相手の持ち物や住居に手を出す、の4つです。証拠は身の安全と引き換えにするものではありません。危険を感じたら記録より避難を優先し、110番してください。
撮影や確認のために相手に近づく
写真を撮るために相手に近づいたり、後を追ったりすると、相手を刺激し、身の危険が大きくなります。撮影は安全な室内や車内から、無理のない範囲にとどめます。
話をつけるために二人きりで会う
警察の資料でも、相手と会わなければならないときは第三者を入れ、二人きりで会わないよう呼びかけています。曖昧な態度はとらず、拒否の意思は文面で伝えます。
相手に反応してしまう
メッセージに感情的に返信すると、やりとりが続いていると相手に受け取られることがあります。連絡は絶ち、届いたものは保存だけしておきます。
相手の領域に踏み込む
相手の住居や車に入る、相手の端末やアカウントに無断でアクセスする、相手に機器を取り付けるといった行為は、自分が法律に触れるおそれがあります。相手の情報を調べる必要があるときは、警察や専門家に任せます。
探偵に記録を依頼するという選択肢
探偵に記録を依頼するという選択肢は、相手が誰かわからない、自分では安全に記録を残せない、行為の継続を客観的に示したいという場合に有効です。探偵業者は、聞込み、尾行、張込みなどの実地調査で相手の所在や行動を確認し、その結果を報告書にまとめます。
探偵業を営むには、都道府県公安委員会への届出が必要です。依頼するときは、届出をしていること、契約前に重要事項を書面で説明してくれること、契約後に契約内容の書面を交付してくれることを確認します。探偵業法は、探偵業者に特別な権限を与えるものではなく、他の法令で禁止された行為はできないと定めています。
- 届出の確認:営業所に掲示された標識やウェブサイトの表示で、公安委員会への届出を確認できるか
- 重要事項の説明:料金の概算、調査の内容、契約の解除、資料の扱いを書面で説明されたか
- 報告の形式:日時入りの写真や時系列の記録など、相談先に見せられる形で報告されるか
- 警察・弁護士との連携:調査の結果をもとに、警察や弁護士への相談まで見通しを示してくれるか
本サイトの執筆者が代表を務める株式会社誠・シークレット・サービス・コンサルティングは、探偵業(東京都公安委員会 届出証明 第30210266号)と警備業(東京都公安委員会認定 第30003860号)の許認可を持ち、ストーカー対策として調査と身辺の安全確保の両方を扱っています。調べることと守ることの違いは探偵と警備会社の違いで詳しく整理しています。
よくある質問
Qつきまといの証拠には何を残せばいいですか?
つきまといの証拠として残すものは、日時・場所・相手・行為の内容・そのときの不安を書いたメモと、メールやSNSのメッセージ、着信履歴、留守番電話、手紙、写真や動画です。消さずに原本を残し、スクリーンショットや印刷で複製もつくっておきます。
Qメモだけでも証拠になりますか?
被害のたびに書いたメモも、日時・場所・相手の言動が具体的に書かれていれば、相談先が状況を判断する大切な材料になります。メッセージや写真などの物証と組み合わせると、行為が繰り返されていることをより示しやすくなります。
Q相手のメッセージはブロックしてもいいですか?
相手のメッセージをブロックする前に、届いたメッセージを送信者と日時がわかる形で保存しておくことが大切です。保存を済ませてからブロックや受信拒否をし、その日時も記録に残しておきます。
Q持ち物にGPS機器や紛失防止タグが付けられていたらどうすればいいですか?
持ち物に身に覚えのないGPS機器や紛失防止タグを見つけたときは、取り外す前に写真を撮り、見つけた日時と場所を記録して警察に相談してください。承諾なく位置情報を取得する行為や機器を取り付ける行為は、ストーカー規制法の規制対象です。
Q探偵に証拠集めを頼むときに確認することは何ですか?
探偵に依頼するときに確認することは、都道府県公安委員会への届出をしているか、契約前に料金の概算や調査内容などの重要事項を書面で説明してくれるか、報告書が相談先に見せられる形になっているかの3点です。
出典・参考資料
- ストーカー行為等の規制等に関する法律(e-Gov法令検索)
- 探偵業の業務の適正化に関する法律(e-Gov法令検索)
- 警察庁「ストーカー被害を未然に防ぐ」
- 警察庁「令和7年におけるストーカー事案、配偶者からの暴力事案等、児童虐待事案等への対応状況について」
- 秋田県警察「ストーカー被害の防止」
- 大阪府警察「ストーカー被害防止リーフレット」
- 法テラス「犯罪の被害にあわれた方へ」
つきまといの記録や対策を相談したい方へ
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