ストーカー被害を警察に相談する流れ|#9110と警告・禁止命令の仕組み

ストーカー被害を警察に相談する流れを、110番・#9110から記録の持参、警告・禁止命令、援助と専門家の併用までの4ステップで示した図解

ストーカー被害を警察に相談する流れは、危険が迫っていれば110番、緊急でなければ#9110か最寄りの警察署に相談し、記録を持参して被害を伝える、という順番です。相談を受けた警察は、ストーカー規制法にもとづく警告・禁止命令や、被害届・告訴にもとづく捜査、防犯の援助などから対応を選びます。

「警察に相談しても、相手に注意して終わりなのでは」「大ごとにしたくないけれど、このままでは怖い」。ストーカーの相談では、こうした迷いを抱えたまま時間が過ぎてしまうことが少なくありません。

この記事では、110番と#9110の使い分けから、相談の前にそろえておきたいもの、警察がとれる措置の種類、そして「動いてくれない」と感じたときの次の手までを、法律と公的機関の資料にもとづいて整理します。

この記事のポイント

  • いま危険が迫っているときは110番、緊急でない相談は#9110か最寄りの警察署へ
  • 相談には、日時・場所・相手の言動の記録と、メールや着信履歴などの証拠を持参する
  • 警察の対応には、警告、禁止命令(緊急時は聴聞を経ずに出せる)、検挙、防犯の援助がある
  • 禁止命令は警告を経なくても出せ、効力は1年で延長もできる
  • 状況が変わらないときは、相談の記録を残したうえで、援助の申出、弁護士、民間の専門家を組み合わせる

110番と#9110の使い分け

110番と#9110の使い分けは、「いま、身体に危険が迫っているかどうか」で決まります。相手が近くにいる、家に押しかけてきた、暴力をふるわれたといった場面は110番、つきまといや連絡が続いていて今後が不安という段階の相談は#9110か最寄りの警察署です。

#9110は、緊急の事件・事故以外を警察に相談するための全国共通の番号です。かけた場所を管轄する警察本部などの相談窓口につながります。

窓口使う場面知っておきたいこと
110番相手がそばにいる、押しかけられた、暴力や脅しを受けている迷ったら110番で構いません。場所と状況を短く伝えます
#9110(警察相談専用電話)つきまといや連絡が続いている、今後どうすればよいか相談したい受付時間は都道府県警察によって異なります。通話料はかけた人の負担です。一部のIP電話などからはかけられません
最寄りの警察署記録や証拠を見せながら、直接相談したい生活安全課などが担当します。事前に電話して担当者と日時を決めておくと、話がスムーズです

ためらわずに110番してよい場面

相手が自宅や職場の前にいる、後をつけられている、「殺す」などの言葉で脅されている。こうした場面では、相談の段取りより身の安全が先です。警察署に向かう前に、まず110番で状況を伝えてください。


警察に相談する前に準備するもの

警察に相談する前に準備するものは、被害の日時・場所・相手の言動を時系列でまとめたメモと、メール、SNSのメッセージ、着信履歴、手紙、録音などの証拠です。相手の氏名・住所・連絡先・車のナンバーなど、わかっている情報もまとめておきます。

警察が警告や禁止命令を出すには、相手が誰で、どのような行為を繰り返しているのかを具体的に確認する必要があります。記録がそろっていると、担当者が状況を把握しやすくなり、対応の判断も早くなります。

  • 被害のメモ:いつ、どこで、相手が何をしたか、そのとき自分がどう感じたか
  • 証拠物:メールやSNSのスクリーンショット、着信履歴、留守番電話、手紙、送られてきた物、写真・動画
  • 相手の情報:氏名、住所、勤務先、電話番号、SNSのアカウント、車の色やナンバー
  • 関係の経緯:知り合ったきっかけ、交際の有無、別れた時期、相手に拒否を伝えた日時と方法
  • 目撃者:一緒にいた家族や友人、職場の同僚など

記録のつけ方や、証拠を残すときに避けたいことは、つきまといの証拠の残し方で詳しく解説しています。


相談から措置までの流れ

ストーカー被害の相談から措置までの流れは、相談の受付、状況と危険度の聞き取り、被害者の意向の確認、措置の実施という順番で進むのが一般的です。どの措置をとるかは、行為の内容、危険の切迫度、被害者が何を望むかによって変わります。

STEP 1

相談の受付

#9110や警察署の窓口で、被害の概要を伝えます。警察署では生活安全課などの担当者が対応します。

STEP 2

状況と危険度の聞き取り

相手との関係、行為の内容と回数、脅しや暴力の有無などを詳しく聞かれます。持参した記録や証拠を見せながら説明します。

STEP 3

意向の確認

相手に警告してほしいのか、処罰を求めるのか、まずは身を守る方法を知りたいのかを確認されます。迷っている点は、そのまま伝えて構いません。

STEP 4

措置の実施

警告、禁止命令、被害届や告訴を受けた捜査、防犯のための援助など、状況に応じた措置がとられます。危険が切迫していれば、緊急の禁止命令や検挙が先に行われることもあります。

警察庁の公表によると、令和7年のストーカー事案の相談等件数は22,881件で、前年より3,314件増えました。被害者と行為者の関係では、交際相手(元交際相手を含む)が38.9%を占めています(警察庁「令和7年におけるストーカー事案、配偶者からの暴力事案等、児童虐待事案等への対応状況について」、令和8年3月公表)。

22,881件

相談等件数(令和7年)

1,577件

警告(令和7年)

3,037件

禁止命令等(令和7年)

8,373件

援助の申出の受理(令和7年)


警告・禁止命令など警察がとれる措置

ストーカー被害で警察がとれる措置は、ストーカー規制法にもとづく警告・禁止命令・援助と、被害届や告訴にもとづく捜査・検挙の大きく2つの系統です。警告は警察が相手に行為をやめるよう求めるもの、禁止命令は都道府県公安委員会が出す命令で、違反すると刑事罰の対象になります。

ストーカー規制法の対象になる行為

ストーカー規制法は、恋愛感情やそれが満たされなかったことへの恨みを晴らす目的で、相手やその家族などに対して行う「つきまとい等」と「位置情報無承諾取得等」を規制しています。つきまとい、待ち伏せ、自宅付近での見張り、拒まれたのに続く電話やメッセージなど8つの類型があり、同じ相手に繰り返すと「ストーカー行為」になります。

GPS機器などで承諾なく位置情報を取得する行為は令和3年改正で、紛失防止タグ(いわゆるスマートタグ)を使う行為は令和7年改正で、規制の対象に加わりました。

警告

警告は、警察本部長や警察署長が、相手に対して行為をやめるよう求めるものです。被害者の申出を受けて行うのが基本で、令和7年改正により、申出がなくても警察の判断(職権)で出せるようになりました。警告をしたときは被害者に通知され、しなかったときはその理由が書面で通知されます。

禁止命令

禁止命令は、都道府県公安委員会が相手に対して、つきまとい等をしないよう命じるものです。原則として相手の言い分を聞く手続き(聴聞)を経て出されますが、身体の安全などに緊急の必要があるときは、聴聞を経ずに出すこともできます。効力は1年で、必要があれば1年ごとに延長されます。

禁止命令は警告を経なくても出せます。令和7年の件数は、警告1,577件に対して禁止命令等が3,037件で、そのうち緊急の禁止命令等が1,840件でした(前掲の警察庁資料)。危険があると判断されれば、警告より強い措置が早い段階でとられることがわかります。

罰則と捜査

ストーカー行為をした者は1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金、禁止命令に違反してストーカー行為をした者は2年以下の拘禁刑または200万円以下の罰金の対象です。ストーカー行為罪は、被害者の告訴がなくても起訴できる罪(非親告罪)です。

住居への侵入、脅迫、暴行、器物損壊など、刑法の罪にあたる行為があれば、被害届や告訴を出して捜査を求めることもできます。被害届は被害を申告するもの、告訴は犯人の処罰を求める意思表示で、告訴は起訴されるまで取り消せますが、取り消すと同じ事件で再び告訴することはできません。

援助

援助は、被害を自分で防ぐための支援を警察に求める制度です。被害者の申出を受けて、被害を防ぐための方法を教える、防犯ブザーなどの防犯用品を貸し出す、相手と話し合う場所として警察施設を使えるようにする、といった支援が行われます。

措置を選ぶときの考え方

警告や禁止命令は、相手に「警察が把握している」と伝わる措置です。行為が止まることもあれば、逆上するおそれもあります。措置の前後に身の安全をどう確保するかを、担当者と具体的に相談しておくことが大切です。


警察が動いてくれないと感じたときの次の手

警察が動いてくれないと感じたときの次の手は、相談した日時と担当者を記録したうえで、記録や証拠を補って改めて相談する、援助の申出をする、弁護士や公的な相談窓口を併用する、民間の専門家に身の安全の確保や証拠の記録を依頼する、の4つです。

「動いてくれない」と感じる理由の多くは、相手が特定できていない、行為が繰り返されていることを示す記録が足りない、法律の対象になる行為か判断しにくい、といった点にあります。警察の判断材料が増えると、とれる措置も変わります。

01

記録を補って再相談

前回の相談日と担当者名を控え、その後に起きたことを時系列で追加して、同じ窓口に相談します。相談の履歴自体も、後の判断材料になります。

02

弁護士・公的窓口を併用

相手がわかっているなら、弁護士から警告書を送る、接近禁止を求める手続きをとるなどの方法があります。法テラスの犯罪被害者支援ダイヤルでも窓口を案内しています。

03

民間の専門家に依頼

相手の特定や行為の記録は探偵、通勤や外出時の安全確保は警備会社の身辺警護が担います。役割の違いは探偵と警備会社の違いで整理しています。

本サイトの執筆者が代表を務める株式会社誠・シークレット・サービス・コンサルティングも、ストーカー対策を業務として扱う会社のひとつです。警備業(東京都公安委員会認定 第30003860号)と探偵業(東京都公安委員会 届出証明 第30210266号)の両方の許認可を持ち、公式サイトでは、状況に応じて警察と協業しながら対応すると案内しています。民間の会社に相談した場合も、警察への相談と並行して進めるのが基本です。

通勤・外出時の付き添いなど、身辺警護で頼める内容は身辺警護とは?依頼できる内容と流れで解説しています。

よくある質問

Qストーカーの相談は#9110と110番のどちらにかければいいですか?

ストーカーの相談先は、相手が近くにいる、押しかけられたなど危険が迫っているときは110番、つきまといや連絡が続いていて今後が不安という相談は#9110か最寄りの警察署です。迷ったときは身の安全を優先して110番に通報してください。

Q警察に相談したら相手にすぐ連絡がいきますか?

警察への相談は、それだけで相手に連絡がいくものではありません。警告や禁止命令など相手に働きかける措置をとるかどうかは、危険の程度と被害者の意向を確認したうえで判断されます。相手への働きかけを望まない場合は、その意向を相談時に伝えてください。

Q警告を経ずに禁止命令が出ることはありますか?

禁止命令は、警告を経なくても都道府県公安委員会が出すことができます。身体の安全などに緊急の必要があるときは、相手の言い分を聞く手続きを経ずに緊急の禁止命令が出されることもあり、令和7年は禁止命令等3,037件のうち1,840件が緊急の禁止命令等でした。

Q元交際相手からのつきまといでも警察に相談できますか?

元交際相手からのつきまといも、ストーカー規制法の対象になる典型的なケースで、警察に相談できます。令和7年のストーカー事案では、被害者と行為者の関係のうち交際相手(元交際相手を含む)が38.9%を占めています。

Q警察が動いてくれないときはどうすればいいですか?

警察が動いてくれないと感じたときは、相談した日時と担当者を控え、その後の被害を記録に追加して改めて相談するのが基本です。あわせて、援助の申出、弁護士や法テラスへの相談、探偵による記録や警備会社による身辺警護といった民間の手段を組み合わせて、身の安全を確保します。

ストーカー・つきまといの対策を相談したい方へ

執筆者が代表を務める株式会社誠・シークレット・サービス・コンサルティングが相談を受け付けています。いま危険が迫っている場合は、110番に通報してください。

03-5724-3994株式会社誠・シークレット・サービス・コンサルティング

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この記事を書いた人

田丸 誠のアバター 田丸 誠 株式会社誠・シークレット・サービス・コンサルティング 代表取締役

元千葉県警察官。警察OB主体の危機管理会社で上場企業経営者の身辺警護やストーカー対策を担当したのち、株式会社誠・シークレット・サービス・コンサルティングを創業。千葉県警察および警備会社で2,000件を超える案件数と現場経験を持つ。JSSC認定 総合危機管理士(安全保障危機管理士)、警備員指導教育責任者(1号・4号)。